いちろぐ。

瀬道 一加の雑記ブログ。小説のこととか、体質、ダンス、動物、留学体験...etc.

ヒスタミン食中毒とヒスタミン不耐症は何が違うの?

アレルギー反応が起こると体内で大量に作られ、かゆみなどの炎症反応を起こすヒスタミンですが、もともと身体の中では様々な生理機能を担っている重要な物質です。物事は何でもそうですが、これがあまりにもたくさん存在してしまうとバランスが崩れ、身体に不調が現れるのです。

ja.wikipedia.org

さて、食べ物にもヒスタミンが含まれている事があると前回ブログにも書きましたが、私のようなヒスタミン不耐症の人は、これを分解出来ず、それがそのまま吸収されてしまい、血中に入り、アレルギー反応を起こしているときと同じ状態になってしまうので、気を付けないと頻繁に体調を崩します

ichikasedou.hatenadiary.jp

 しかし、普通の人、つまりヒスタミンを問題無く消化出来る人でも、同じような状態になることがあります。それは、「消化しきれないほどの量のヒスタミンを食べてしまい、それが血中に回ってしまう」時です。そのような状態は、「ヒスタミン食中毒」と呼ばれているようです。消費者庁のサイトによると、学校や保育園の給食施設で起こってしまった例が多いようですね。(それでも年間で10件前後ですが。)

どのようにヒスタミン食中毒が起こるか

ヒスタミンは、必須アミノ酸の一つであるヒスチジンが、ヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)と呼ばれる酵素と反応して生成されます。ヒスチジンを多く含む食材の代表が赤身の魚(マグロ、カツオ、サバ、アジ等)ですが、これに付着している目に見えない細菌(ヒスチジン脱炭酸酵素を持っている)によってヒスタミンが生成されてしまいます。なので常温に保持されていたり、鮮度が低いものは、ヒスタミンが大量に含まれている可能性が高くなります。また、菌は死滅していても酵素が残っていればヒスタミンの生成は進んでしまうので、腐っている見た目や臭いなどしなくても、ヒスタミンは生成されてしまっている可能性があるので、注意が必要です。

しかも、ヒスタミンは熱や低温で分解されないため、調理前の段階で既に大量にヒスタミンが生成されている場合、調理の仕方では対処出来ないのです。(実際、報告されている件は揚げ物やつみれ汁など、生鮮食品ではなく加工済みのものが多いようです。)

今の所、ヒスタミン中毒症の予防として出来る対策は、徹底した低温管理しか無いようです。

参照論文:山木 将悟山﨑 浩司水産物におけるヒスタミン食中毒とヒスタミン生成菌日本食微生物学会雑誌, 2019, 36 巻, 2 号, p. 75-83, 公開日 2019/07/01, Online ISSN 1882-5982, Print ISSN 1340-8267

また、農林水産省によるリスクプロファイルシートでは、

ヒスタミン中毒は、症状が比較的軽く、短時間で治ってし
まう場合が多いことから、家庭内で発生した場合など
は、届け出がなされない場合も多いと推定される。

としています。赤身の魚を調理して食べて、なんとなく具合が悪くなった、なんてことがあれば、それはヒスタミン中毒症だったかも知れませんね。 

ヒスタミン食中毒になりやすい人」が「ヒスタミン不耐症」

さて、ヒスタミンを問題なく分解できる人でも気を付けたいヒスタミン中毒症ですが、逆に言えば常にこのヒスタミン中毒症の危機にさらされているのがヒスタミン不耐症の人々とも言えるでしょう。どのくらいのヒスタミンで中毒症状が出るのかは人それぞれのようですが、普通の人なら問題ないほんの少しのヒスタミンでも中毒症状が出てしまうのがヒスタミン不耐症者なのです。

次回はヒスタミン不耐症の方の対処法をまとめて見たいと思います。